腎不全ってどんな症状の病気?
腎不全の症状は多様です。それだけ、いくつかの対症療法を組み合わせた形で治療を行うのが一般的です。腎不全の最も根本的な症状は、腎臓機能の著しい低下や停止です。腎臓は私たちの血中の老廃物をろ過する機能を担う臓器です。
その機能が低下することにより、本来含まれていてはいけない血中の老廃物が含まれたまま血液が全身を巡回してしまうことで、全身性のさまざまな症状がみられるのが腎不全の特徴です。
腎不全には急性腎不全と慢性腎不全の2タイプがあります。急性腎不全であれば、腎機能が回復する望みはまだまだありますが、現在の西洋医学の力では、慢性腎不全にまで状況が悪化してしまうと、回復の可能性は極めてゼロに近くなります。
急性腎不全を発症したときに、これを放置し続けると、やがて慢性腎不全のような致命的な症状に至り、生命維持のためには人工透析や腎臓移植などの最終手段が必要になります。腎不全を含む慢性腎臓病の治療では、できる限り人工透析や腎臓移植が必要なステージに進行しないよう、現状維持を最大の目標にしながら治療を行うことになります。
何が原因で腎不全になるの?
腎不全のはっきりした原因は今のところわかっていないといわれますが、いちおう糸球体(尿を生成する器官)や尿細管(尿成分中の不要物を排出し、必要な成分を血中に戻す器官)に異常が見られることが発端となることが多いということは知られています。
糸球体の異常による腎疾患を糸球体腎炎と呼び、尿細管の異常による腎疾患を尿細管間質性腎炎と呼びますが、これらが慢性腎臓病や腎不全に至る重要なプロセスになります。一連の流れから、腎不全の原因は糸球体や尿細管の異常にあると説明されることが多いです。
糸球体の原発性異常がなぜ起こるかについては、未だ解明されていない部分が大きいですが、膠原病(こうげんびょう)など他の疾患に原因があることもあります(このタイプの腎炎を続発性糸球体腎炎と呼びます)。
尿細管の異常に関しては、薬物による副作用や薬物アレルギー、さらには感染症などが原因であると考えられています。糸球体や尿細管などの異常があったとしても、初期的な段階で症状を自覚することはあまり多くありません。
慢性腎臓病のうち、腎不全と診断されることが多くなるのが、5つの慢性腎臓病のステージのうち、ステージ3以降です。ですから、ステージ3に至る前に、明確な方向性をもった治療を行うことが大切です。